日常

記憶を辿る〔第四回〕


曲がり角というのも意外と記憶に残るものなのだなと、この写真を見ていて思った。

 

この坂を登った記憶で一番濃いのは、20代の頃明け方のバイト帰りにマフラーがうるさいからとバイクのエンジンを切って押して登ったこと。なぜそんなことを思い出すのか分からない。そして、案外に軽く押して登れたのが不思議だったが、今は無理だろうと、どうでもいいことを思う。

 

 

20歳になって、更にそこから20年と少し経ったことが信じられない。ここは、公園の前。

 

学校へ続く坂道。本当に坂道ばかり。小学生の頃、ここの子は坂道を沢山登るから足腰が強い、だから綱引きなども強い、みたいなことを先生が言っていたのを「そんなもんか」と聞き流していたが、それは間違いないと今思う。これはそれこそ本当にどうでもいい話だけど、そうか、自分の体力が落ちているからこんなことばかり

 

公園内に入った。茶畑が見える。

 

あの土管は昔からあったものだろうか。分からない。左の方、ブランコの手前辺りに藤棚があった。その藤棚に登った記憶がある。わさわさとした葉が折り重なり、身を隠せるほど茂っていて、雲に乗っているような、そんな気分を味わえた。しかしこの記憶は本物か知ら。

 

 

猫がいた。猫がいたら写真を撮る。これは万国共通と思われる。

 

公園を出よう。

 

 

公園を出て左を向いたところ。あの先に浄水場があって、小さな頃友達とそこへ遊びに行った。おじさんにお菓子をもらった。この記憶はダイレクトに思い出すというより、何度も思い出していて、その思い出した記憶を思い出すような、そんな感じだ。浄水場ではなくて汚水処理場かな。なんとなく臭かったような。色はベージュ。深い穴のような。

 

右を向く。この道を行ってみよう

 

こんもりした小山。なんだか、不思議。道の脇にいきなりこんもり。しかも木が沢山生えている。この木はなんだろう、材木になるのか、はたまたただ大きく育ってしまったのか。

 

あのお地蔵さんは覚えている。ずっとそこに居たのか。

 

振り返る。

 

この辺りも坂の上の団地も敷地廻りは大谷石だった。建替えがあるとコンクリートへと変わってゆく。徐々に色が塗り替わっていく。この先全ての色が塗り替わることがあるのかどうか。

 

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